シモヤブログ

インプットの記録

三つ編み(レティシア・コロンバニ)

三つ編み

レティシア・コロンバニ作/齋藤可津子訳

 

f:id:shimoya_ke:20220402194923j:plain

 

住む国、仕事、置かれている環境、全て異なる3人の女性が「毛髪」で繋がる物語。

それぞれの人生が交互に綴られていく。

 

スミタ:インドの田舎の村で夫、娘と暮らす女性。

カースト制度における不可触民(ダリット)であり、先祖代々村の排泄物処理を生業とする。娘に教育を受けさせようとするが、登校初日に娘が学校で容赦ない差別を受けたことにより、悲惨な生活から抜け出すために娘と夜逃げすることを決める。    

 

ジュリア:イタリアで父が経営する毛髪加工会社で働く女性。

父親を慕って家業を継ぎ、読書を好む。ターバンを巻いた褐色の肌の青年と出会い、密かに愛し合うようになる。父が事故に遭い意識不明になったことより、会社が倒産寸前であることを知る。経営の立て直しを図ろうと奔走するが、母親からは裕福な近所の男と結婚し、経済援助を受けることを懇願される。

 

サラ:カナダで敏腕弁護士として働くシングルマザーの女性。

家族との時間、自身の健康をも顧みず弁護士としてのキャリアを築き上げてきた。乳がんが発覚し職場に隠して治療を始めるが、彼女のポジションを狙う後輩により闘病を周囲に知らされてしまう。うわべだけの憐みの言葉をかけられ、次第に職場での彼女の居場所は無くなっていく。

 

 

スミタの毛髪が、ジュリアのもとに渡り加工され、サラの一部として生きていく。

 

美しい髪を持つ貧しい者、代々受け継がれた技術を持つ加工者、化学療法を受けるがん患者というそれぞれの役柄が明らかになってくるとこの結末は自然と見えてくるが、スミタがどういう経緯で毛髪を手放すことになるのか読んでいて緊張した。

 

三者三様、人生の苦難に直面するのだがスミタの物語は最初からどん底だ。

生まれた時から人として扱われない事が決まっており、周囲に忌み嫌われ一生服従し続ける。

娘にはそんな人生を送らせまいと希望を持つが、いとも簡単に打ち砕かれる。

彼女は一世一代の行動を起こすが、新天地への旅路は容易いものではない。常に命の危険を感じながら、満足に眠ることも食べることもできない。

 

読み進める中、彼女はどうしてもお金が必要となり毛髪を売らねばならない状況になってしまうのかと悲観的な予想をしてしまった。

しかし結果は違った。

ティルパティの寺院に参拝し、深く愛し信仰するヴィシュヌ神に毛髪を捧げたのであった。

そして、スミタの物語は希望に満ちた終わりを迎える。

 

彼女が幸せな気持ちで手放した髪が、彼女により美しいかつらとして生まれ変わり、彼女の生きる力となったのだった。